母は昨年白内障を患い、目が見えにくくなったのを機に免許を返納し、愛車も処分した。
バスも通らないど田舎ゆえ、車と免許がないとさぞかし不便だろうと思ったら、そうでもないという。
元々買い物が嫌いなんである。
金を使うのが嫌いなのではなく、人に買ったものを見られるのが嫌という自意識過剰気味な性格によるものなので根が深い…
日常品、食品は同居の弟がメモを片手に買いに行き、もしくは商売をしている親戚に頼んで宅配してもらい、野菜は家の前の畑で自作、米は古い友人達から買い付け、特に食生活に不自由はない…。
食生活においてただひとつ足りないもの、それは田舎の女性の社交「お茶飲み」の茶菓子が足りないのが悩みなんだという。
そりゃそうだな、ジャンクフード世代の弟におばちゃんのお茶飲み用茶菓子を用意するセンスはないわな。
じゃあ弟の運転で町に買いに行けばいいじゃないかと思うのだが、前述の理由で買い物が嫌い。じゃあどうすんだよ?
ということで、母の話を聞いた結果、私が実家に行く時(月に1.2回)の手土産は「お茶飲みのお茶菓子」ということになった。
最初は訳が分からず近所のスーパーで買った「いかにもおばちゃんの好きそうな茶菓子(ひとくち羊羹とかまんじゅうとか)を持っていったのだが、何回か持っていくうちに、コツというか傾向と対策を掴んできた。
母は「カルディ」とか「イカリスーパー」とか「成城石井」とかで売っている、ちょっと小洒落たお茶菓子を喜ぶのである!
(たしかに、実家の町にはどれもないわ。ウチの近所にもないけどな!)
ちょっと毛色の変わった菓子を出せば、話題も広がるし(そこらへんの話術は巧み)ちょっとステキなパッケージに枯れた心も踊るらしい…
田舎のおばちゃんだけど、心はいつまでも貴婦人なんである。
そこにデパートで買ったちょっとした菓子(モロゾフとかメリーズとか…)などちょっと入れておけば大満足✨近所の人にいただきものをした時にお返しに渡せば母の虚栄心は完璧なものとなるのであった。
最近の我が家には実家用に「お菓子袋」を用意し、先述した店に行った時は必ず母の好きそうなものを買ってストックするようにしている。
もう一つ、気づいたことは母は「カルディ」の紙袋が好きだということ。
丈夫だし、ちょっとおしゃれだし、田舎にはないお店なので何かお返しを渡す時に都合がいいらしい。一枚何十円かするのだが、母が喜ぶならそりゃ買いますとも!
母が元気なうちは、数少なくなったお友達、幼なじみといった貴婦人の皆さんとお茶会をするであろう。
そのささやかな楽しみの手伝いができればと思っている。